とりあえず一回目は成功。


これで私が死に怯えなくて済むと聞いたのは、通話が終了してから。


向井さんは帰ってこいって言ってたけど、ここで待っているなんて我慢が出来ない。


早く南部君に会いたい。


ありがとうってお礼を言いたい。


「妙にソワソワしてるな。潤を迎えに行くかい?子猫ちゃん」


儀式が終わって、向井さんもいつも通りに戻ったみたいだ。


「行っても大丈夫ですよね?私、国道に近付いても死にませんよね?」


「その為に潤は学校に行ったんだ。大丈夫、菜々が死ぬ事はないさ」


私の頭に手を置いて、ポンポンと軽く叩いて見せる。


不安が消えて行く。


まだ、南部君が一回目の儀式を終わらせたばかりだし、彩乃の事もあるけど……。


今はこの安心感が心地良い。


「じゃあ、迎えに行きたいです。向井さんに話したい事もありますし」


「俺に話したい事?何だい?付き合ってほしいと言うなら、俺はいつでも菜々を受け入れる準備は出来てるぞ」


「全然そんな話じゃありませんから。早く行きましょ」


バッと腕を開いて、私を抱き締めようとする向井さんの脇を抜けて、ドアへと向かった。


私が見た夢の全て。


早く伝えた所で、結果は変わらなかっただろうけど。