その後は何度掛け直してみても、繋がる事はなくて。


見えない何かが邪魔をしているとさえ思えた。


「呪い?ちょっと待て、何だ?呪いって」


慌てる私を、不思議そうな表情で見る。


二人に言おう言おうと思っていたのに、今日に限ってタイミングが合わなくて言えなかった。


「私のお父さんの先輩、幸村さんの呪いなの!憎いやつを呪い殺すって……いつの間にか、話が変わって伝わったんだよ!」


もう間に合わない。


時計は19時19分。


今からじゃ自転車を使っても、学校に到着する頃には儀式は終わってる。


「あれが……呪いだって?」


ボソッと呟いて、苦笑いを浮かべる向井さん。


だけど、それを聞いても動こうとはしなかった。


「向井さん!南部君を……南部君を止めてよっ!!」


「ダメだ!!仮に本当に呪いだとしても……菜々を助けるにはこれしかないんだ!一生国道に近付かないなんて無理なんだぞ?高校はどうするんだ?通う為には国道を渡る事になる。いつかは……必ず殺されてしまうんだぞ!」


一度でも儀式をしてしまうと、二回目を必ずやってしまうというのに。


「今日成功しても、次は絶対に失敗するんですよ?その時に南部君が危なくなったらどうするつもりですか!?」