「色々あったからね。頭がスッキリしないんだろう。紅茶でも飲むかい?そろそろ起きても良い時間だから、用意をしてきたからね」


そう言って、テーブルの方に歩き、その上にあるティーポットを手に取る。


何か……変な感じだ。


「向井さん、南部君はどこに行ったんですか?」


何度尋ねても、その問いに答えてはくれない。


私が見た夢が、二人が話していた事と同じだとすると……何かをしようとしていた?


残された手段は一つ。


その言葉がやけに気になる。


まさか……私が彩乃を助けたように、南部君も私を?


「向井さん……南部君は学校に行ったんですか?」


「……もう時間だ。菜々が死なないようにするには、これしかなかったんだよ」


ティーカップに紅茶をいれ、壁に掛かっている時計に目を向けた向井さん。


時計の針は19時17分を指していて、あの呪いの時間まで、残り2分。


「ダメ!あれは願い事が叶うおなじないなんかじゃない!あれは……幸村さんの呪いなの!」


そう言いながら、ポケットの中の携帯電話を取り出した私は、南部君に電話を掛けた。













トゥルルルル……。



トゥルル……ブツッ。






コール音が、途中で切れてしまった。