向井さんに案内されるままに家の中に入った私は、南部君に押されて部屋へと向かった。


普段の私なら、こんな大きな家に入ったら、はしゃいでいるのだろうけど、今はそんな気分になれない。


二階にある向井さんの部屋に入った私は、ソファに座らされた。


全てが他人任せ。


何か考えると、死の恐怖が襲ってくるから考えたくはない。


「悪かったね。知らなかったとはいえ、まさかあんな事になるとは」


「俺も甘く見てました。森川さんの話だと、夜に国道に行かなければ大丈夫だって思ってたから」


南部君と向井さんが、さっきの事について話をしている。


多分、そんなに簡単な事じゃない。


時間、場所なんてものは、何の関係もないんだ。


重要なのは、「車に轢かれて死ぬ」という結果だけ。


向井さんの先輩が自殺したように、弘志さんがあんな風になってしまったように、彩乃の身体が溶けたように。


死ぬという結末は、呪いに掛かった私の運命なんだ。


今……いや、今日それから逃げられても、近いうちにそれは訪れる。


大切な物を失わなかった人はいないのだから。


二人がいくら私の為にと悩んでくれても、私に迫る死の影からは逃れられない。


死の足音は、確実に近付いているのだ。