いつまでも病院にいても、無駄に時間が経過するだけ。


向井さんと南部君に挟まれるようにして病院を出た私達は、辺りをキョロキョロと見ながら道を歩いていた。


どこに行くとか知らないけど、二人に任せていれば大丈夫。


そこに私の意思はない。


誰かに寄り掛かっていさえすれば、不安は和らぐから。


「全く……どうなってるんだ、俺の可愛い子猫ちゃんは。いつの間に予知能力なんて身に付けたんだ?」


怯える私の頬をツンッとつついて問い掛けた。


「きっと、儀式に失敗したから……大切な物を奪おうと、森川さんをつけ狙ってるんじゃないですかね?多分ですけど」


「まあ、ありえなくはないな。弘志も言ってたからな。幽霊は後ろにいるって。つまりは……そういう事なんだろ」


今になって、その言葉の意味が良く分かる。


私にずっと幽霊が憑いていて、二回目の儀式が失敗する事が確定していただけじゃない。


私の命を奪おうと、まだ憑いているのだろう。


「とりあえず、俺の家に行くしかないな。ここからなら潤の家よりは近い」


「早く森川さんを落ち着かせたいですからね。俺はそれでも良いですよ」


私はどこでも良かった。


車に轢かれて死ぬ危険がないような所ならどこであっても。