教室に入ると、衝撃的な光景が私の目に飛び込んで来た。


誰がそうしたのか……私の机の上に、花瓶に入れられた花が置かれていたのだ。


「ちょっと!何よこれ!」


慌てて机に駆け寄り、それを見ていると、近くで話していたクラスメイトが、「あっ!」と声を上げて花瓶を手に取った。


「ごめんね。花瓶の水を交換して、話に夢中になっちゃった」


「そ、そう。良いよ、気にしないで」


そうは言ったけど良い気はしないな。


まあ、嫌がらせでされてるわけじゃないから許せるけど。


……幸村さんはこんな嫌がらせを受けていたのかな。


木村さんは意地悪そうな顔だったし、その可能性は十分にあるよね。


椅子に腰を下ろして、色んな事を考えながら南部君が登校してくるのを待った。


付き合って、初めて学校で顔を合わせる。


何だかドキドキするな。


私はいつも、どうやって挨拶してたっけ。


皆に知られると冷やかされるのは分かっているから、知られないように自然にしなきゃ。


普段なら考えないような事も、一つ一つが楽しみに感じるな。


まだ来ないかなと、教室の前に掛けられている時計に視線を向けた時。










「うぃーす」


教室の後ろから、その声が聞こえた。