学校に到着して、生徒玄関に入った私は、妙な違和感に襲われた。


何がどう……というわけじゃないけれど、いつもとは何かが違う。


空気が重いと言うのかな?


幸村さんの夢を見たから、変な風に感じてしまうのかもしれない。


怖い話を聞いた後、何とも思っていなかった部屋に、幽霊がいるかもしれないと思ってしまう感覚なんだろうな。


靴を履き替えて、教室に向かおうと階段まで歩いた時。









「きゃっ!!」







一人の女の子が階段を踏み外して、三段目くらいから落ちたのだ。


「いったーい!足くじいたーっ!!」


「もう、美奈はドジなんだから。保健室行こ」


二人の女子生徒の何気ないやり取りも、普段なら何も思わないんだろうけど……似ている。


幸村さんが転がり落ちた時と。


昨日は、どうしてあんな夢を見たのか分からなかったけど、改めて考えてみれば、もしかしてあの時に。


儀式に失敗して、笑う幽霊が私と重なって気絶した。


重なった時に、幸村さんの記憶が私の中に入って来たんだとしたら?


間違いないなんて言えないけど、お父さんも知らない事を夢で見たんだから、その可能性は十分あるよね。


足を挫いた女の子とその友達を見ながら考えていた。