ピンポーン。
彩乃の家に到着した私達は、インターホンの呼び出しボタンを押した。
誰かが出てくるのを待つけれど、そんな気配が全くなくて。
南部君と二人で、彩乃の家の玄関先でしばらく立っていた。
「……誰もいないのかな?そんなわけないよね。彩乃がいるはずなのに」
「さぁ?俺は初めて来たし、何とも……電話してみた?」
「電話はしてないけど、メールはしたよ?だけど返事がないの」
南部君に言われて、電話をしてみるけど……電源が切れているみたいで、ガイダンスが流れて終わり。
メールの返事がないはずだよ。
でも、私だったら電源が切れてたら、不安でたまらないけどなあ。
誰から連絡があるか分からないし。
……夜中にしつこく着信がなければだけど。
「玄関のドアも開かないし……やっぱりいないんじゃない?」
そうなのかなあ。
学校をサボって、外出するような子じゃないんだけどな、彩乃は。
でも、いないのなら仕方がないか。
昨日の事は気になるけど、また学校に来た時に聞くしかない。
「そうかもしれないね。ごめんね南部君。変な事に付き合わせたりして」
と、私が謝った時、黒い軽自動車が、家の前で停車したのだ。