幸村さんの死は隠蔽されたんだ。


木村さんは嫌がらせのつもりで、軽い気持ちで幸村さんの胸ポケットから薬を抜き取ったんだろうけど、思っていたよりもずっと大切な薬だった。


命に関わるような薬だと分かっていれば、そんな事はしなかったかもしれないのに。


いや……それより学校の対応だ。


明らかな殺人が学校で起こったのに、それを公表しないなんて。


「でも、お父さんはどうしてそれを知ってるの?先生達だけの秘密じゃないの?」


「盗み聞きしたからな。職員室なんて、廊下にいれば中の声は簡単に聞く事が出来る」


あまり感心出来ないけど、お父さんが聞いていてくれたおかげで、詳しく話が聞けた。


「まあ……それでだ。木村さんが盗んだ薬は、落とし物として職員室に届けられたという事になったんだけど、その木村さんは学校祭予定日の翌日、自宅で死んだんだ」


幸村さんと木村さんの死。


その間に一体何があったのか。


さすがにお父さんもそこまでは知らないんだろうな。


一つ一つのピースを並べて、それを繋ぐピースは想像するしかない。


そう思っていたら、お父さんはさらに口を開いた。


「二日間で三人。先輩と木村さん、後は男子生徒も木村さんが死んだ日に、自殺をしたんだ」