「ま、まあね。学校の怪談に興味がある人がいてね。その人に詳しく教えてもらったんだ」


本当は違うけど、それをお父さんに言った所で理解なんてしてくれないだろうから。


憧れていた先輩が、私から大切な物を奪ったなんて。


「そうか……でもな、お父さんと先生達しか知らない秘密もあるんだぞ?」


お父さんと先生達しか知らない秘密?


あの夢を見た私でさえ知らない事があったの?


「何?もしかして木村さんの話?」


「そこまでは知ってるみたいだな。そう、先輩の薬を盗んで、結果先輩は死んでまったんだけど、この話には続きがあるんだ」


続き……という事は、今は願いが叶う儀式に変わってしまった呪いの話かな?


そうとしか考えられないんだけど。


「学校祭が中止になった話はしただろ?先輩が生徒玄関前で死んだんだけど、その原因となったのは、菜々が言った木村さんが、薬を盗んだからなんだ」


「同じ事言ってるよね?勿体振らずに早く続きを教えてよ」


「……そんな所はお母さんそっくりだな。まあいい。木村さんから話を聞いた先生達は、その事実をなかった事にしようとしたんだ。先輩の死は悲しい事故死。それ以上のゴタゴタは、学校としても避けたかったんだろうな。人が殺されたなんて」