何とか階段まで辿り着き、手すりに身体を預けるようにして下り始める。


もう限界に近いのか、時折ビクンビクンと身体を震わしている。


「き、木村さんが……薬を……」


木村さん?もしかして、あのリーダー格の女の子?


幸村さんも気付いてたんだ。


あれだけ煙たがっていたんだから、あっさりと引き下がった事を不審に思ったのかな。


「そ、そうだよ!その木村さんが薬を取ったんだよ!」


いくら言っても、反応しない事くらい分かってる。


だからと言って、黙ってる事は出来なかった。


励ましながら、幸村さんと一緒に下りた階段。


苦しそうに歩いていたけど……ついにその時は訪れた。


二階と一階の間にある踊り場を通り過ぎて、一階まで後数段という所で、幸村さんの足に力が入らなくなったのか、階段を踏み外して転がり落ちたのだ。


階段の下で、うつぶせになった幸村さん。


「だ、大丈夫!?もうすぐ職員室だよ!頑張って!」


私の祈りが届いたのか、幸村さんは震える手を前に出し、廊下を這って進み出した。


助けて上げられないのがもどかしい。


手を貸してあげたいのに、何も出来ない自分が悔しくて。


這いつくばる幸村さんの隣で、必死に応援する事しか出来なかった。