馬場君が帰って、しばらく経ったのだろう。


夢だからか、私には一瞬のような感じがするけど、展示物も完成に近くなっている。


もう、廊下や教室には誰の姿もなくて、残っているのは幸村さんだけ。


「明日が楽しみだな。今年は初めて友達と学校祭か」


フフッと笑い、最後の写真を模造紙に貼り付けて、それを眺める。


中学三年生……私と同い年の女の子が、クラスの一員だと証明するかのように作り上げた、想いが込められた作品。


何だか私も感動してしまうよ。


「さてと……これを……教室……に」


完成した展示物を見ていた私は、何か異変に気付いて幸村さんを見ると……。


苦しそうに心臓に手を当てて、白い顔がますます青白くなっている。


「ちょ、ちょっと……大丈夫!?何?苦しいの!?」


思わず声を出したけど、幸村さんには聞こえていない。


こうなるという事が分かっていたのか、幸村さんは慌てる様子もなく、後ろに置いたカバンから水筒を取り出して、制服の胸ポケットに手を入れた。


いつ発作が起こるか分からないというのは怖いな。


と、そんな事を考えながら、幸村さんの様子を見ていたけど。


落ち着いていた幸村さんが、急に目を見開いて、カバンを引っくり返したのだ。