私には分からないけど、きっと苦しかったに違いない。


遅くまで残って……周りにはきっと、他に誰もいなかったんだ。


「これは、先生が話しているのを聞いたんだけどね。教室は別の作業をしていたから、先輩は教室の近く、音楽室の前で作業をしていたみたいなんだよ。そして、先生が先輩を見付けたのは生徒玄関の前。先生に助けを求めようとしたんだろうね。だけど、職員室まで辿り着けなかった」


それでも、生徒玄関まで頑張ったんだ。


もしも、いやがらせがなければ、先輩は死ななかったかもしれない。


もしかすると、いやがらせがなくても先輩は死んでいたかもしれないけど、そういう結果になってしまったら、前者の方をどうしても考えてしまう。


「でもね、この話はこれで終わりじゃないんだよ。人を殺す呪いは、先輩が死んでから囁かれるようになった」


お父さんがそう言うであろうという事は分かっていた。


だけど、それが呪いになるなんて、話が飛躍し過ぎてると思うんだけど。


嫌なやつを殺すなんて、その時点では分からないわけじゃない?


なのに、いきなりそんな噂が流れるなんて。


「……女子グループのリーダー格の子が、数日後に死んでしまってからね。先輩が、呪い殺したんだって言われたよ」