「あれは、学校祭の準備をしていた時だったかな。その先輩は、最後の学校祭という事で、準備期間中は頑張って登校していたんだ。体調を考えて、放課後までは保健室で過ごしていたんだけどね」


「お父さん……いきいきしてるね。それに、保健室で過ごしてるって、良く知ってたね」


「そりゃそうさ!授業をサボる為に、良く保健室に行ってたからな」


いや、自慢するような事じゃないと思うけど。


だから、お父さんはその人が保健室にいる事を知ってたんだ。


「何度か会ううちに仲良くなってね、先輩に言われたよ。『授業を受けれるんだから、受けなきゃダメだよ。私みたいに、受けたくても受けられないわけじゃないのなら』ってさ。だから……学校祭が終わってからは、真面目に授業を受けるようになったんだよ」


……あれ?


これってお父さんの思い出話?


私は呪いの話を聞きたいんだけど。


「学校祭が終わるまでは先輩がいたからでしょ?」


「うん、まあそれもあるんだけどね……その先輩がお父さんにそう言ったのは、準備期間の最後の日だったんだよ」


翌日が学校祭で、先輩が保健室にいなくなったから、行く意味がなくなったってわけか。


いつの時代も男の子のそういう行動はあまり変わらないんだな。