これ以上聞いても、儀式の話は出てきそうにないな。


半ば諦めて、調子が出てきたお父さんの話に相槌を打っていた時だった。














「幽霊に頼めば、嫌なやつを殺す事だって出来る呪い!これが一番流行ったんじゃないかな?」














の、呪い?


それに、幽霊に頼めば……って。


似てる。


私が知ってる、願い事を叶える儀式に。


「あ、あのさ、それってどんな話なの?聞きたいな……」


「お?食い付いたな?よしよし。いいか?これはお前の通ってる中学生で実際に起こった話なんだ」


お父さんは気付いていないかもしれないけど、その入りは話を安っぽくしてしまう。


いかにも作り話というのが見え見えだ。


「お父さんが中学生の頃、一人の女子生徒が心臓発作で死んだんだよ」


ますます作り話っぽい。


すでにこの時点で、嘘くささが充満しているよ。


「その女子生徒は身体が弱かったんだけど、透き通るような白い肌をしている美人だったんだ。だけど、身体が弱いだろ?なかなか学校には行けなかったから、たまに学校に行けば男子からは大人気さ!」


まだまだ胡散臭さは拭いきれないけど、まるで見た事があるような言いぶりは具体的で、期待は高まる。