リビングでテレビを見ていたお母さんに、濡れた布団の事を伝えて、私はお風呂に入っていた。


と言っても、今の時間は16時過ぎ。


湯船にお湯なんて張ってないから、シャワーで汗を流す。


「うぅ……シャワーを浴びてても寒いよ……」


身をすくませて、小さくなっていてもお湯が当たらない肩が寒くて。


汗だけ流せば良いのに、ここに来ると温まりたいと思ってしまう。


そういえば、この浴室で頻繁に幽霊が出たよね。


現実と夢……どちらでも現れて、どれだけ怖い思いをした事か。


でも、私が儀式に失敗して、不気味な感覚はない。


もう、私に憑いている意味もないんだろうな。


鏡を見ると、私の背後に忍び寄っていたけど……今はどれだけ見ても、そこに映る風景に変化はなかった。


これで二度と幽霊に怯えなくて済む。


安堵すると共に、考えるのは大切な物の事。


夢での彩乃と弘志さんの言葉が気になっていた。


友達の為に、自分の願い事を叶えなかったんだから、幽霊にしてみれば、彩乃が私の大切な物と思われても仕方ないよね。


はぁ、気が滅入るなぁ……。


風邪をひいて、弱くなっているというのもあるけど、もしも正夢だったらと思うと、私には何も出来ないと感じていたから。