「やっぱり、こんな私と友達なのは嫌なんだ?」









そう言った彩乃は、何か変な感じがした。


いつもと顔が違う……。


気のせいか、バランスが悪いような……。


いや、気のせいじゃない!


私の目の前で、じわじわと皮膚が垂れて行く。


目玉が飛び出し、液状になって、ボトリと床に落ちた。


鼻も口も……顔から滑り落ちるように崩れて。


あの日見た、ドロドロの彩乃がそこにはいたのだ。


「ひっ!!」


頭からズルリと落ちた髪の毛の束が、私の服に付く。


伸ばされた手が私の肩に置かれて……崩れた顔で笑い掛けたのだ。








「こんな姿じゃ、誰も友達になってくれない。菜々は友達でいてくれるんでしょ?」








ボトボトと、液状になった肉を床に落としながら、覆い被さるように私に抱き付いてきた彩乃。


「や、やめ……離れて!!離れてよ!!」


床に押し倒された私の上に、さらに彩乃の肉片が襲い掛かる。


苦しくて息も出来ない。






「ほら、それが菜々の本心」






ポッカリと空いた、目があった黒い空洞を私に向けて、彩乃は崩れ落ちた。


口と鼻を塞がれて息苦しくなった私は……しばらくして動けなくなった。