「私はね、菜々に見下されてるのが嫌だったの!勉強が出来ないから、菜々に勉強しろなんて言われる!メガネを外したら可愛いって言われる!メガネを外さなきゃ可愛くない?そうやって人を見下すのは楽しいよね?」


そんな事、考えてもいなかったのに、彩乃の言葉に反論出来ない。


私はそんな風に見られていたのかと考えると、凄く悲しくなる。


「奈々より可愛くなって、奈々より頭が良くなれば、見下される事なんてなくなるよね!?哀れな私を助けた気分はどうだった?幽霊に襲われて、大好きな人に抱き締められて夜を過ごして嬉しかった!?私は悲しい。私は菜々に助けを求めたのに、菜々は鬱陶しいと思って携帯の電源を切った!!」


いつの間にか、怒りに満ちた表情に変わり、私に詰め寄る。


だって……彩乃があんな事になってるなんて知らなかったんだもん。


次々と飛び出す言葉に、私は耳を塞いでいた。


だけど彩乃の言葉は、それでも聞こえている。


「菜々は私が大切なわけじゃない。自分より劣っていて、自分が良く見える人が大切なだけ!」


「違う!違うよ!私は彩乃が大切なの!!彩乃は友達だから大切なの!!そんなの、一度も思った事はない!!」


彩乃の顔も見れず、耳を塞いだまま、私はそう叫んだ。