うずくまったまま、小刻みに肩を震わせている彩乃。


私が失敗したから、彩乃を失うと事になって……だから泣いているんだ。


そう考えると悲しくなってきた。


どんなに夢だから違うと思っていても、涙が出てくる。


「ご、ごめんね……私が失敗したから……」


口に手を当てて、震える彩乃にそう呟いた。


元に戻してと願っても、失敗してしまった事で、それが何の意味も成さなくなってしまったから。


一度安心したのに、再び絶望させてしまうなんて、どれだけ残酷な事か。


「……泣いてるの?菜々」


私の言葉を聞いて、ゆっくりと振り返る彩乃。


彩乃も泣いていて、私が抱き締めるような場面。







そう、思っていたけど。


振り返った彩乃の口元は笑っていた。


泣いていたんじゃない、彩乃は笑うのを必死で堪えていたのだ。









「あはははっ!!何?その顔。泣いてるって思った?そんなわけないじゃない」












何がどうなっているのか分からない。


溢れる涙もピタリと止まって、何も考えられずに彩乃を見る事しか出来ない。


彩乃を指差したまま、笑みを浮かべている弘志さんと、私を見ながら笑う彩乃。


その光景は、異様そのものだった。