それにしても、弘志さんはこんなに背が高かったんだ。


家に行った時は、部屋の隅でうずくまっていたし、立ち上がった時も背中を丸めていたから分からなかった。


「弘志さん、私は二回目の儀式で失敗したんだよ。だから、幽霊はいないと思う」


私から大切な物を奪って、もう私には興味がないんじゃないかな。


そう言うと……弘志さんは、ゆっくりと顔を上げた。


睨み付けるような目で私を見て、かと思えば口元は笑っている。


そして……。










「キミは何も分かっちゃいない。俺が教えた言葉の意味を」












ニヤニヤと笑いながら、私の目を見て、そう呟いたのだ。


思いもよらなかった、弘志さんの言葉に驚いた私は、目を見開いて固まった。


何?私は分かってない?言葉の意味を……。


まだ何かあるって言うの?


あの幽霊はまだ何かをしてくるの?


……最初からずっと私を騙していたくらいだから、あり得なくはないのかな。


何にしても、私が何を失ったのかが分からないから、不安は残ったまま。


「弘志さんの言葉の意味って何ですか?教えてください!」


そう尋ねた瞬間、私の額を指差す弘志さん。


ニヤニヤと笑ったままで、私を見下ろしていた。