そんな風に言わないでよ。


私は彩乃の為に頑張ったのに、彩乃にそんな事を言われたら、私が儀式をした意味がないじゃない。


「じゃあ、彩乃はあのままの姿で良かったの?ゼリーみたいにドロドロで、誰が見ても彩乃だって分からない姿で」


私に出来る精一杯の反論。


こんな風に口論なんてした事がないから、納得してくれるかは分からないけど。


私の言葉に、相変わらず肩を震わせて。


「だからさ、それが余計なお世話だって言ってるの!大切な物を失ったのに、身体だけ元に戻っても仕方ないじゃない!」


「だったら彩乃の大切な物って何なのよ!それを知りたかったのに、全然会えなかったんだから!」


「そんなの私のせいじゃないじゃない」


ダメだ、こんな話を続けてても、夢なんかじゃ意味がない。


現実で彩乃と会って、話を聞かなきゃ。


半ば諦めたように溜め息をついた私に、彩乃がさらに呟く。


「私の最初の願い事、覚えてる?」


最初の願い事?


たしか、視力が良くなったって言ってたよね?


目が悪くて、厚いレンズのメガネをかけている事が、彩乃のコンプレックスだったから。


「覚えてるよ。視力を良くしてもらったんでしょ?」


背を向けたまま、彩乃は小さく頷いた。