……冷たい雨が私に降り注ぐ。
バチバチという雨粒が弾ける音が、身体中から聞こえて。
水が流れるアスファルトの上に、私は横たわっていた。
あの幽霊が重なった後……私はどうなったんだろう。
気付いたら生徒玄関の前で倒れていて、物凄い眠気を感じる。
身体が動かない……。
儀式の冷たい空気で冷え切った身体に、これでもかというくらいの雨。
体温も体力も奪われて、私にはもう、どうする事も出来ない。
「ごめん……南部君……」
ポツリと呟いたその言葉も、激しい雨音に掻き消されて。
私しかいないこの場所では、誰にも聞こえるはずがないのだけれど。
それが寂しくて、涙を流していた。
彩乃もこうなったのかな?
あの日は晴れてたから、何とか家に帰る事が出来て、帰った後に私に電話をしたんだ。
きっとそうだ。
ダメだと言われたのに、沸き上がってくる気持ちに逆らえずに、南部君の家を抜け出した結果がこれ。
誰にも同情してもらえないだろうな。
そう考えると、寂しくて、悲しくて……。
指一本動かす力が残っていない私は、ゆっくりと目を閉じた。
もう何も考えたくない。
「潤!いたぞ!あそこだ!!」