授業中も、南部君の話の続きが気になって仕方がない。


彩乃は……昨日、失敗したから電話を掛けて来たのかな?


私に助けを求める為に。


そう考えると、ますます不安は大きくなる。


先生の話も上の空で、彩乃の席を見ていると……。







ツンツンと、私の背中につつかれたような感触。


意識がよそに向いていて、それに驚いたけど、先生が黒板に向かっている時に振り返ってみると、南部君がルーズリーフを一枚、私に差し出していたのだ。


何か書いてある。


それを受け取って前を向き、何だろうと見てみると。












『俺が聞いた話だと、一度目の願い事は必ず成功してる。


だけど、誘感に負けて二度目の願い事をかなえようとした人は、必ず大切な物を失っているんだ。


つまり、願い事は二度はかなわない。


一度目はエサで、二度目の願いをかなえようとする人間を、侍ってるんだよ』










うん、言いたい事は分かったよ。


だけど「誘感」?「侍ってる」?


まあ、誘惑と待ってるって言いたいのは分かるから、この誤字は見なかった事にしよう。


南部君の名誉の為に。


それにしても……二度目で成功した人がいないとなると、ますます彩乃が心配だ。