このままだとどうせ間に合わない。


生徒玄関までまだ半分くらいなのに、ここで捕まるくらいなら!


そう考えた私は、一階に向かう階段に向かって走り出した。


もしもこれで無効となるならそれでも良い。


失敗だとしても、あの幽霊には捕まりたくない!


階段を駆け下り、踊り場に滑り込むようにして、階段の陰に身を潜める。











「あはははは……は?どこにいるの?いないの?」










しばらく廊下でうろうろしているような足音と、迷っているような声。


来ないで、来ないでと、目を閉じて心の中で何度も叫んでいた。


すると、私を探すのを諦めたのか、足音は徐々に聞こえなくなって行ったのだ。


……助かった?


良かった、何とかやり過ごせた。


それにしても、ほんの少しの距離とはいえ、走ってしまったのはどうなるのだろう?


失敗?無効?それとも……。


わけがわからないまま、階段を下り始めた私を、再び強烈な悪寒が襲う。


途中から、フッと消えたような感覚があったけど、この幽霊が離れたから?


前回背後に憑いていた幽霊みたいに、笑う幽霊が怖くて。


……もしかして、私が走った時に、背後に幽霊がいなかったから、走っても平気だったの?