笑う幽霊にだけ気を付ければ、大丈夫かも。


階段の下から、足音も笑い声も聞こえないから、今なら見付からないはず。


そう思って、一歩踏み出そうとした時。












「ソッチジャナイ……」











「えっ!?」


耳元で言われたその言葉と共に、肩に奇妙な圧迫感。


誰かに掴まれているような感じがするけど、こんな事は初めてで、どうして良いか分からない。


混乱している私は、身動きが取れずに、私以外の何者かの力によって、その場でグルンと180度回転させられたのだ。


「何!?何でこっちからじゃダメなの!?」


私が考えていた事全てが、儀式では何の役にも立たない。











「ミチハ キマッテイルカラ……」










そんなの私は聞いてない!


私だけじゃない……南部君だって、向井さんだって知らないはずだよ!


もしかして、二回目の挑戦で失敗した人達は、今の私と同じように、聞いてない事があって失敗したんじゃ……。


もう、私に残された手段は、話し続けて生徒玄関に辿り着く事しか残されていない。


でも、こんな状態でそれが出来るの?


話のネタは沢山あったけど、今の事でどうすれば良いか分からなくなっていた。