晩御飯をご馳走になり、落ち着いた時にはもう19時前。


今から向かえば、まだ間に合いそうだけど……外は雨だし、カバンの中に入っている折りたたみ傘を出せば、二人に気付かれてしまう。


雨でも全力で走れば、10分でどうにかなるかな。


先生に言わずに、こっそりと忍び込めば。


チラチラと時計を気にしているのが分かったのか、南部君が私の顔を覗き込んだ。


「森川さん?まさか、行こうとしてるんじゃないよね?」


「だ、大丈夫だよ。皆といるのは楽しいし、何とか時間までは……ね?」


自分でも何を言っているのか分からない。


でも、南部君は気付いていないようで。


「それなら良いんだけど」


と、言って、私と同じように時計を見た。


今日も儀式は出来そうにないな。


二人が見ている中で、少しでも妙な素振りを見せたら、押さえ付けられそうだし。


チャンスがあるなら明日以降……。











……ダメだ、明日は土曜日で学校は休み。


部活で来ている先生も、19時19分まで残っているはずがない。


今日のチャンスを逃すと、二日もこんな気持ちで過ごさなければならないのだ。


だけど……こんな状況では抜け出せるはずがないから、諦めるしかないのかな。