18時15分。


お腹が空いて、南部君が昨日と同じように食事を取りに一階に下りた。


ドアを開けると、美味しそうな匂いが漂って来る。


何だか申し訳ないと思いながらも、今日のおかずは何だろうと期待する。


「お待たせ。今日は豚のしょうが焼きだけど、嫌いじゃないよね?」


昨日より大きなお盆に、食事を乗せて部屋に入って来た南部君。


わざわざ出してもらってるのに、文句なんて言えるはずがない。


「あー、俺はしょうがが嫌いなんだよな。後でおばさんに言っといてくれよ」


……ちょっと向井さん!


南部君のお母さんがせっかく作ってくれたのに、いきなりダメ出しするかな!?


ハシゴで直接この部屋に来る事も含めて、性格の歪みが酷いよ……。


「先輩は好き嫌いが多いんすよ。トマト、ピーマン、キュウリ、鶏皮、バナナにイチゴ、他にも挙げたらきりがない。そのくせ納豆とかくさやは大好きでしょ?文句言わずに食ってくださいよ」


そんな向井さんに言い返せる南部君も凄いな。


相手は先輩なのに。


きっと、そんな言葉じゃ言い表せないような信頼関係があるのだろう。


何でも言い合える先輩と後輩か。


私にはそんな人がいないから、二人のような関係は少し羨ましく思えた。