「いやいや、先輩は高校生でしょ?大学も行くんじゃないんすか?森川さんの面倒を見るなんて、また適当な事を……」


フッと鼻で笑った南部君。


あまりに現実的じゃないと感じたのか、私を取られまいとする、ささやかな反抗かは分からないけど、口元は引きつっている。


「バイトでも何でもするさ!高校を出たら就職したって良い!」


そう言い切ったけど、凄く悩んでいるみたいで、眉間のシワが半端ない。


でも、それくらい私の事を想ってくれてるんだ。


何だか嬉しいな。


「まあまあ、せっかく進学校に通ってるんだから、向井さんは大学に行かなきゃ。私の事は、心配しなくても大丈夫ですから」


南部君がいてくれれば、きっと大丈夫。


私は儀式をやっても大丈夫だとは思うんだけど、頼まなくても南部君が止めるから。


「いつか、先輩のウザいノリについて来れる彼女が見付かりますよ。何も森川さんに執着しなくても良いでしょ」


「潤、お前は俺と菜々とのささやかな未来を応援してはくれないのか!?寂しい後輩を持ったもんだぜ!」


応援するはずないよ。


だって、内緒にしているけど、南部君と私は付き合っているんだから。


そんな事を考えながら、私は二人のやり取りを笑いながら見ていた。