その言葉に安心したのか、ベッドに腰を下ろして大きな溜め息をつく南部君。


ニコニコと笑っていて、よほど嬉しかったのだろうという事が分かる。


私も嬉しくて、テーブルの前に座って、フフッと笑った。


付き合う事が決まり、私も安心したのかな。


南部君との距離が少し空いているけれど、その距離感も良い感じだ。


ほんの少し前まで、私達はただの友達だったのに、付き合っていると意識してしまうと、特別な関係になったんだと嬉しくなる。


「さて……問題は先輩だよね。あの人、森川さんの事を気に入ってるから。知られるとまずいよな」


「あぁ……そうかもね。じゃあどうする?向井さんの前では今まで通りの方が良い?」


「そうだね。あ、でも、二人でいる時は俺を名前で呼んでくれるかな?その方が特別感があるし」


そっか、名前か。


私は今まで、ずっと南部君って呼んでたから。


確かに他の人がいる前では名前で呼べない。


そんな事をしたら、皆から冷やかされるのは分かっているから。


「じゃ、じゃあ……私の事も名前で」


すぐには無理かもしれないけど、いつか自然に呼びあえるようになりたいな。


南部君が、私の事を「菜々」って呼んでくれたら、私も「潤」と呼ぼうと思った。