「弘志……お前、俺じゃなくて菜々なら話すのかよ!」


あ、そっちなんだ。


違う言葉を話をしてくれた事よりも、私と話した事にショックを受けてるんだ。


「お前は昔からそうだったよ。男の友情よりも女を取る野郎だった」


何だか……向井さん自身の事を言ってるような気がして、フォローのしようがない。


「先輩もそうじゃないすか。人の事を言える立場じゃないでしょ?」


私の代わりに、南部君が突っ込んでくれた。


まあ、そんな事はどうでも良いんだけど。


「幽霊から逃げられないって事は、私が二回目をすれば、必ず失敗するっていう事ですか?」


そう尋ねても、弘志さんはそれ以上の事は話してくれなかった。


いつものように「幽霊は後ろにいる」と呟くだけで、何を話しても反応を示してはくれなかったのだ。


もう何を言っても変わらない。


そう感じた向井さんに促され、私達は外に出る事になった。


詳しい話は聞けなかったけど、だからと言って収穫が何もなかったわけじゃない。


失敗した後も、幽霊に苦しめられているという事が話から推測出来たし、私の背後に幽霊が憑いているという事も。


きっとこの幽霊が、絶対に失敗するという、二回目の儀式をさせようとしているのだろう。