「一つ、教えてほしい事があるんです。どうして二回目は失敗するんですか?笑う幽霊は……何なのか分かりますか?」


優しく……子供に言うように、弘志さんに尋ねる。


反応してくれないかなと思ったけど、笑う幽霊と言った時、ピクッと耳が動いたような気がした。


「幽霊は後ろにいる、幽霊は後ろにいる、幽霊は後ろにいる」


驚いたように、何度も何度も同じ事を呟く弘志さん。


絶対に何か知ってる。


視線がフラフラ泳いでいるし、落ち着きがなくなった感じがするから。


だけど、どうやって聞き出せば良いのか。


こんな状態だと、まともな受け答えなんて出来そうにない。


「菜々、分かってるだろ?俺だってまともに話が出来ないんだ。弘志は何も教えてくれない」


フゥッと、向井さんが溜め息をついたのが分かる。


言いたい事は分かるよ。


儀式をやりもしない、何も知らないままだったら、話が出来るとは思わなかったけど、今は違う。


儀式を一度終わらせた私なら、弘志さんから話を聞き出せるような気がするから。


「笑う幽霊が怖いんですか?お願い、教えてください。私は、二回目に挑戦しようと思ってるんです」


向井さんと南部君に聞こえないように、弘志さんの耳元で、そう囁いた。