「やっと来たな。可愛い子猫ちゃんが手に負えないからって、俺の手を借りようなんてな」


弘志さんの家に近付くと、私達に気付いた向井さんが、勝ち誇ったような表情で南部君を見る。


「手に負えないって……どう解釈したら、あのメールをそんな風に読めるんですか」


いつものように、冷めた視線を向ける。


どんな内容のメールなのかは私には分からない。


私はてっきり、向井さんが言ってるような内容のメールを送ったと思ったけど……。


だけど、南部君が違うと言ってるなら、それを信じるかな。


確かに私は手に負えないと思われてるかもしれないけど、南部君なら、抱き締めてでも止めてくれるはずだから。


「まあ、言い訳は後で聞いてやる。弘志に用事があるんだろ?だったらまずは、そっちを済まさなきゃな」


あ、強引に話を進めた。


ここで話をしていても無意味だとでも思ったのかな?


私としても、早く弘志さんの言葉の意味を知りたい。


幽霊が……何だと言うのか。


それが分かったところで、儀式を詳しく知る事は出来ないかもしれない。


全く意味のない事を呟いている可能性だってある。


だけど、本当に二回目の儀式は失敗してしまうのか、それを知る事が出来るかもしれないから。