結局、授業中はずっと同じ事を考えて、一日が終わった。


帰る時間、カバンに落書きをしたルーズリーフを入れようとした時、南部君が私の腕を掴んだのだ。


「ちょっと……森川さん、何それ。今日はあまりおまじないの話をしないから大丈夫かと思ったのに」


恐る恐るその顔を見てみると……怒ったような、悲しそうな表情で私を見ていた。


「だ、大丈夫だよ?ほら、考えてみたらさ、絶対に失敗のしようがないんだから」


例の見取り図を描いたルーズリーフを南部君に手渡すと、それを見て眉をひそめる。


私の完璧な作戦に、言葉が出ないのかな?


成功する事が分かっている儀式なんて、やらなけりゃ損するだけだし。


「なんなのこれ。こんな紙の上で書いた事が、本当に成功するなんて思ってるわけ?二回目をすると、絶対に失敗するって知ってるよね?」


目が怖い……声も怒ってる。


「それは、二回目をやった人が考えてやらなかったからで、私はこんなに考えたんだよ?」


失敗するはずがないじゃない。


怒った南部君の顔を見ていると、その言葉を言えずに口を動かす事しか出来なかった。


何も言わずにルーズリーフを机の上に置いて、私が帰る準備をするまで、ただジッとその行動を見ているだけだった。