学校に到着して、教室に入ると、まず私は室内を見回した。


少し早くに来たからか、南部君の姿はまだ見えない。


なぜかホッとしたような気持ちになって、自分の席に着いた。


それなら、じっくりおまじないの事を考えられる。


早速ルーズリーフを取り出して、そこに簡単な学校の見取り図を描き、音楽室の前に丸印。


ここに背中を向けている幽霊が現れて、足元を指差しているんだ。


そこに移動して、19時19分になればおまじないが始まる。


いや、あれをおまじないなんて言って良いのかな?


儀式とか、少し重いような言葉の方が似合う。


で、その儀式は、どこを通って生徒玄関に向かっても良いんだよね?


照明が消えたからといって、何もそこを通る必要はないんだ。


「そっか……中央の階段を下りようとするから、笑う幽霊に見付かりやすいんじゃないかな?」


失敗した人達が、どんな失敗をしたのかは分からないけれど、その可能性は高いよね。


つまり……校舎の端にある階段を使って一階に下りてから、生徒玄関に向かえば……。


二階の端から走って来る笑う幽霊を、難なく回避する事が出来るじゃない。


あの時、声が聞こえた方にチェックを入れ、私はその反対側の階段に丸印を付けた。