何事もなかったかのように一階に下り、洗顔、朝食を済ませた後、少し早いけど家を出た。


お母さんに対して、何だか後ろめたい気持ちがあるし、顔を見るのが怖いから。


曇っていて、今にも雨が降りそうな空模様だ。


5時の時点では暗くて気付かなかったけど、黒い雲が空一面に広がっている。


折りたたみ傘があるから大丈夫だけど、出来るなら降ってほしくはないなぁ。


それが19時19分まで続いたら、おまじないをする為に学校に向かうのも大変になるから。


一人でトボトボと歩く通学路。


数日前までなら、何日かに一回は、彩乃と登校していたのにな。


彩乃がおまじないに失敗さえしなければ、普通に生活していたに違いない。


どうして失敗するかな?


幽霊と話し続ければ良いだけじゃない。


質問されそうになっても、話を途切れさせれば失敗する事はないのに。


あの笑う幽霊だってそう。


見えない所に隠れさえすれば、追い掛けて来ないと思うから、サッと隠れれば何の問題もない。


私は飛び抜けて運動が出来るわけじゃないけど、それくらいは簡単に出来そうな気がする。


何度でも、私が望む事は、おまじないをすれば叶う。


世界一の大金持ちにだって、大天才にだってなれるのだ。