新聞を手に、家の中に入った私は、ドアに鍵を掛けてリビングに向かった。


テーブルの上に置いておけば、お母さんが起きて来た時に気付くだろうから。


この時間になると、幽霊がいる気配もなくて。


気温の低さから、寒い事には変わりないけれど、怖い寒さじゃない。


リビングに入り、テーブルの上に新聞を置いた私は、寒さから逃げるように自分の部屋へと向かった。


階段を上がり、部屋のドアを開け、布団に潜り込むと、まだ残ってる南部君の温もりに包まれて、凄く安心する。


さっきまでここで寝ていた南部君。


いくら怖かったからとはいえ、改めて考えると凄い事をしていたんだな。


怖くて必死だったから深くは考えていなかったけど、事実だけを並べると……。


好きな男の子を家に呼んで、親に内緒でベッドの中で抱き合って眠った。


誰かに知られでもしたら、学校中に話が広がってしまって大変な事になるだろうな。


そうなってほしくないと思う気持ちと、知れ渡ってほしいと思う気持ちが半々くらい。


「はぁ……学校でどんな顔して会えば良いんだろ」


出来るなら学校に行かずに、ずっと一緒にいてほしかったな。


そうなれば夕方、お母さんが帰って来るまでの間、一緒にいる事が出来たのに。