「じゃあね、また学校で」


眠くてフラフラしている南部君と外に出て、まだ暗い中でのお別れ。


「うん、ありがとうね。誰にも言っちゃダメだよ?」


こんな事が、他の男子とか向井さんに知れたら大変な事になる。


まあ、南部君がベラベラ喋るなんて思えないけれど。


「分かってるよ。怖かったらいつでも言ってね」


家の前に停めていた自転車のスタンドを蹴り上げて、手を振った。


私も手を振り、走り去る南部君の背中を、見えなくなるまで見送ってから、郵便受けに向かった。


どうせ外に出たんだから、新聞を取っておこうと思って。


「テレビ欄も見なくなったよね」


新聞を手に取り、久し振りに見るテレビ欄に目を通した。


特に面白そうな番組もないし、今日もテレビを見なくても済みそうだ。


でも、それはつまり……おまじないの事を考える時間が増えるって事で。


南部君がいなくなった瞬間から、どういうわけか考える事が変わり始めていた。


いつまでも、南部君とずっと一緒にいたい。


誰にも邪魔をされたくないし、その為には何が何でもおまじないをして、願いを叶えようと思っている。


どうしようか。


今日も南部君と向井さんに、おまじないをするのを止められるだろうな。