ピピピ……。
唇を重ねたままアラームを切った私は、もう時間が来たのかとガッカリして顔を離した。
一度、この感覚を知ってしまうと、一人になるのが寂しく感じる。
でも、このままだとお母さんに怒られてしまうから、帰ってもらわないといけない。
「南部君、朝だよ。帰らないと……怒られちゃうよ?」
優しく身体を揺すってみるけど、南部君は「うーん」と唸るだけで、起きようとしない。
こんなに朝早くに起きる事も滅多にないんだろうな。
「ほら、早くしないと。起きて。南部君」
「うーん……母さん、もうちょっとだけ」
あ、勘違いしてる。
ポリポリと頬を掻く姿と、その言葉が可愛い。
……なんて、考えてる場合じゃない。
本当に5時にアラームをセットしてて良かったよ。
この調子じゃあ、起きるのが何時になるやら。
「お母さんじゃないよ。私は菜々だよ」
耳元でそう呟くと、ハッとしたように目を開けた南部君。
キョロキョロと辺りを見回し、私と目が合うと、さらに驚いた表情を浮かべたのだ。
「えっ!?あれ!?何で森川さんが……」
私の家に泊まった事を忘れていたのか、半ばパニック状態になっていた。