靴を履いている足元から、徐々に目を上に向ける。


青白い腕に、少し膨らんだ胸。


そして……予想通りの粘土細工さながらの、無表情の不気味な顔。


右手に握られた、ボロボロの携帯電話が耳に当てられていて……。


それに気付いた瞬間、グリンと顔をこちらに向けたのだ。













「ほら、やっぱりここにいた!!」













表情が全く変わらないのに大きな声。


「い……いやあああっ!!来ないでよっ!!」


背筋が凍り付くような感覚。


寒さに限界はないのかという程の悪寒を感じて、弾かれるように浴室を出た私は、バタバタと音を立てて部屋に向かった。


膝が震えて上手く走れなかったけど、手を使ってなんとか駆け上がって。


部屋に辿り着いた私は、南部君が寝ているベッドに潜り込み、ガタガタと震えた。


「うー……ん。どうしたの?何かあったの?」


ぴったりと南部君の背中にくっついた事で起こしてしまったのか、小さな声で尋ねる。


「で、出た……携帯がなくて、探してたら……幽霊が!」


「ふわああ……大丈夫。俺が抱き締めてあげるから。怖くない怖くない」


そう言って、私を抱き締めようと、身体の向きを変え、布団の中で向き合った私達。