見付けた……そこにいた、なんて。


もしかして、ここにいたらまずいのかもしれない。


あの幽霊が、学校から私の家に来てしまう。


他の幽霊が現れるくらいなんだから、どんな幽霊が来たとしても不思議じゃない。


早く部屋に戻って、帰る前にもう一度、南部君に抱き締めてもらいたい。


この、凍っているかのような冷え切った身体を、溶かすように温めてほしいから。


慌てて携帯電話に手を伸ばして、それを掴んだ私は……目に入った鏡に、見てはいけない物を見た。












うちの中学校の制服。


それを着ている青白い肌の人が、鏡の中に映り込んでいたのだ。


ほ、本当に来た!


あの幽霊なの!?


夢で見たその姿は……確か、粘土細工のような物だったけど、それなのかな?











いや、そんな事を考えている場合じゃない!


早くここから離れないと!


鏡に映った幽霊は、鏡から目を離せば見えないから。


そう思い、素早く顔を上げて振り返ろうとした時……。


私の頭の中には、「どうして?どうして?」と、何度も同じ言葉が繰り返されていた。












鏡の中にしか見えないはずの幽霊。


制服を着たそれが、私の目の前にいたのだから。