廊下に出て、寒いと思ったけど……階段を下り始めると、さらに冷気が私を襲う。


一段一段、踏み締めるたびに気温が下がっているようで、震えが止まらない。


一階に下りた時には、まるで冷凍庫の中に入っているかのような寒さに、ガタガタと身体を震わせていた。


「雪でも降ったのかな……時期的にはまだ早いと思うけど」


少しでも気をまぎらわせようと、そんな事を呟いてみるけど、それは逆効果で。


雪という寒さを連想させる言葉が、気をまぎらわせるどころか、さらなる寒さへと私を誘った。










ピピピピピピピッ!!










聞こえる。


大きな音が、静かな家の中で反響して。


どこにあるのか……耳を澄ますと、ドアがわずかに開いている脱衣所から聞こえている。


またお風呂場なの?


随分お風呂好きな幽霊もいたもんだ。


やっぱり、幽霊は水場に集まりやすいって言うし、それが原因なのかな?


あまりに寒くて、今、幽霊が出たとしても、「後にしてくれ」って言ってしまいそうだ。


ドアを開け、照明を点けて脱衣所の中を確認してみるけど……どこにも携帯電話は見当たらない。









ピピピピピピピッ!!








浴室からその音は聞こえた。