南部君の身体に身を寄せて、震える私の身体を抱き寄せる。


背中に回された腕が私を包み込み、安心感を与えてくれる。


それ以上に、ドキドキしているんだけど。


耳の下を通る南部君の腕が、思ったよりもたくましい。


「南部君……手が脇腹に……くすぐったいよ」


「ご、ごめん。こんな事初めてだから」


南部君も初めてなんだ。


脇腹まで回されていた手が、背中に移動した。


緊張しているのか、手が震えているよ?


私も人の事は言えないけどさ。


「大丈夫?こんな体勢で眠れる?」


「無理かも……と言うより、森川さんを抱き締めてるから寝たくない」


私だってずっとこうしていたいけど、寝なきゃ明日が辛い。


気持ちの良いドキドキに包まれて眠る初めての夜。


怖くてたまらなかったのに、南部君に助けられた。


「ありがとうね、来てくれて」


片方の腕を南部君の背中に回してそう囁くと、私の頭に頬を寄せる。


「森川さんが好きだから……呼ばれたら、絶対に来るよ」


その言葉の後、ギュッと私の身体を抱き寄せた。


「私も好き……」


南部君の胸に顔を寄せて、今の気持ちに流されるように呟いた私は目を閉じた。


好きな人の息遣いをすぐ近くに感じながら。