それから、私は携帯電話のアラームを5時にセットして、二人でベッドに横になった。


南部君に壁側に寝てもらって、手を繋いだまま。


幽霊が現れるかもしれないと思うと、照明を消すのは怖いけど、南部君が一緒にいてくれるなら安心出来るから、照明を消して。


こんな事をするのは初めてで、悪い事をしているという気持ちと、好きな人が隣にいるという緊張で、胸が張り裂けそうなくらい心臓が激しく動いている。


「森川さん……そっち大丈夫?俺が場所を取ってるから、落ちそうじゃない?」


手をギュッギュッと握って、天井を見たまま囁く。


「ごめんね。ベッドが小さくて。寝相が悪いから、寝てる時に落ちちゃうかも」


私も真似して、手を握り返す。


一人用のベッドだから、こればかりは仕方ないよ。


他に布団もないし、分かれて寝る事も出来ないから。


「……だったらさ、落ちないようにしてあげようか?」


また手を握り、もぞもぞと身体を動かして……。


壁際に身体を寄せると、南部君は私の方に身体を向けて、繋いだ手を離したのだ。


私と南部君の間に空いた空間。


「落ちないように抱き締めるから……こっちにおいで」


布団を持ち上げて微笑む南部君に、ドキドキが止まらなかった。