必要以上に意識しているのは、私だけじゃないようで。


さっきから南部君の手も落ち着いていない。


膝から離れたかと思うとまた膝の上。


何度も何度も同じ事を繰り返している。


視界の端で行われているその動作を目で追って、いつ動きを止めるのかと待っていると……。


何かを決意したように、グッと拳を握った南部君。


やっと落ち着いたのかと思った次の瞬間。


そっと私の手に、南部君の手が重なった。


触れられてビクッとしたけど、私もすぐに手を返して、その手を握った。


ただ手を握っているだけなのに、抱き締められていた時よりもドキドキする。


あの時は不意打ちだったけど、今は南部君が好きだし、ちょっとだけ触れているというのがもどかしくて、次にどうするかという期待に繋がるから。


何度も膝の上で擦っていたからか、ほんのり温かい手。


南部君の親指が、私の手の甲を撫でていて……何だか変な気分。


「朝の6時にお母さんが起きるから……その前に帰る?」


普段なら、こんな事は言っていないのに。


夜に私部屋で、好きな人と手を繋いでいる。


そんな特別な状況が、私をちょっとだけ大胆にさせていた。


チラリと南部君の顔を横目に見ると、何度も小さく頷いた。