「汚い部屋だけどどうぞ」


南部君の部屋と比べると、本当に汚いけど。


南部君の靴を置く為に、学校でもらったお知らせのプリントを床に敷く。


「靴はここに置いて。でも、南部君が来てくれて本当に良かったよ。一人だったら、幽霊が出るんだもん」


「え?あ、う、うん」


靴を置いて、部屋の中をキョロキョロと見回す南部君。


どうしたんだろう。


何か落ち着かない様子だけど。


「どうしたの?立ってないで座ってよ。どこでも良いからさ」


ベッドに腰掛けて、南部君にそう言うと、また部屋を見回して。


そして、申し訳なさそうにベッドに……私の隣に腰を下ろしたのだ。


ど、どこでも良いとは言ったけど、まさか私の隣に座るとは思わなかった。


でも……好きになってしまったから嫌じゃない。


「そ、そう言えばさ、まだ考えてる?おまじないの事」


緊張しているのか、声が少し震えている。


言われてみれば、家に帰ってからは考えていない。


いや、考えていないと言うより、幽霊が現れてそれどころじゃなかっただけかもしれないけど。


「全然考えてないよ。だって、どこにいても幽霊が出るんだよ?考えてられないよ」


そんな中で南部君が来てくれた事は、凄く嬉しかった。