「何も……いないみたいだね。本当にここにいたの?」


部屋を見回して、不思議そうに首を傾げる南部君に頷いて、私も確認する。


幽霊は本当にどこにいるか分からない。


突然現れて、突然消えるから気が抜けないのだ。


こうして二人でいても、次に現れる機会を伺っているのかもしれないから。


「とりあえず消すよ?」


ソファの上に置かれたリモコンを手に取り、テレビの電源を切った。


それでも二人でいるからか、幽霊は現れない。


リビングの電気を全部消して、現れないうちにと私の部屋に向かった。


足音を立てないように、お母さんに気付かれないようにそっと。


そして辿り着いた私の部屋。


ドアを開けて、そこでようやく私は、とんでもない事に気付いたのだ。












……部屋が汚い。


本棚に戻してないマンガや小説がテーブルの上に置きっぱなしだし、机の上なんか小物がいっぱいだ。


さらには、放り投げたカバンから出た教科書やノートが、部屋の汚さを強調している。


怖い一心で南部君に来てもらったけど、こんな事なら部屋の掃除をしておくんだったと激しく後悔した。


「き、綺麗な部屋だね」


そんな気遣いをせずに、汚いと言ってくれた方が気が楽だよ。