ドアを開けて、外に飛び出した私の目の前に人影が。


驚いてしまったけれど、急に止まれるはずもなく、ドンッとぶつかってしまったのだ。


「あいたっ!!って……も、森川さん!?」


尻餅をついて倒れたのは……南部君。


良かった。


南部君が来てくれた。


怖くて怖くて、壊れてしまうかと思うほど辛かったのに、南部君の顔を見た瞬間、身体中から力が抜けて、さらに涙が溢れ出た。


「な、南部君……怖かったよぉ」


ボロボロと涙を流しながら、地面に座っている南部君に抱き付いて。


「えっ、ああ……だ、大丈夫だよ。うん、俺がいるから」


ぎこちない動作で私の背中に手を回して、優しく背中を撫でてくれる。


恐怖が消えるまで、しばらくそのまま抱き合って、落ち着いたところで私達は家の中に入った。


いくら怖いからと言っても、電気を付けっぱなしにしておくわけにはいかないから。


「靴は持って上がって。お母さんに知られるとまずいから」


「分かってるよ」


小さな声で、何か悪い事でもしているかのように、二人でリビングに向かう。


南部君を先に行かせて、私はその後に付いて。


でも、リビングに入っても、さっき見た幽霊の姿はなく、テレビも普通に番組が流れていた。