「出るのは無理かな。だけど、来れるなら来てほしいよ。怖いからさ」


笑うお母さんの隣で、そんな秘密のメール。


こんな事を男の子に言ってると知れれば、発狂したみたいに怒るんだろうな。


だけど、お母さんは私を助けてくれるわけじゃないし。


南部君がいたって、助けてくれるとも思えないけど、お母さんよりは頼りになる。


すぐにメールの返信があり、来てくれるらしいけど、どうしようかな。


こっそり抜け出すにもパジャマだし。


怖いけど、南部君を部屋に上げるしかないかな。


一人だと怖いけど、南部君が一緒なら耐えられるかもしれないから。


「お母さん、まだ寝ないの?もう良い時間だけど」


いつもなら21時には寝ているお母さんが、まだ部屋に戻ろうとしない。


「この番組が終わったらね。それより菜々ちゃん、宿題は当然済ませて来たんでしょうね?」


「そ、そりゃあね。勉強を教えてもらってたんだから、宿題も教えてもらわなきゃ損だし」


本当はやっていないけど、こうでも言わなきゃ部屋に戻されてしまいそうだ。


「だったら良いけど。菜々ちゃんこそ早く寝なさい。寝坊しても、起こしてあげないんだからね」


お母さんに早く寝てほしかったけど、逆に言われてしまった。