「……ちゃん。菜月ちゃん!起きて!」
ゆさゆさと身体を揺すられる感覚と、大きな声で、私は目を開けた。
死んで……ない。
と、なると、あれはやっぱり夢だった。
慌ててガラス片を刺された額に手を当てるけど、何ともなっていない。
溜め息を吐いて、ゆっくりと身体を起こすと……私はブラウスを着たまま。
「え?なんで制服を……」
一体いつから寝ていたのか。
一番可能性があったのが、お風呂を上がって布団に入った時だと思ったんだけど……。
この様子だと、お風呂に入る前に寝ていたのだろう。
「ぐっすり寝てたねー。10時間くらい寝た?」
真弥ちゃんの言葉で時計を見ると、朝の7時。
準備をして学校に行く事を考えると良い時間だ。
「真弥ちゃん、夜にナニかに襲われなかった?大丈夫?」
「うん、何とかね。鏡を見ないようにしたし。また変な夢は見たけどね……」
私も夢は見た。
だけどそれは昨日とは違って、鏡に数字が書かれているものではなかった。
「……学校、行くの?行っても授業はないけど。どうする?」
「影宮さんが来てると思うから。何かを掴んだかもしれないからね」