やめて……やめて!


ただでさえ不快な音なのに、そこに鏡が震えるという視覚の怖さまで。







ギギギギ……。


ギギギギ……。







音が鳴るたび、弾かれるように鏡が踊る。


「ちょっと……う、嘘でしょ!?」


鏡が小刻みな震えから、暴れるような激しい動きに変わったのを見て、私は飛び起きた。


暗い部屋で、まるで生きているかのように動く鏡に恐怖して。


ゆっくりと後退して、背中がテーブルに付いた。


逃げ道は廊下しかないけど……階段を下りたらすぐに大きな鏡がある。


どうするべきか考えている間に、さらに鏡の動きが激しくなる。


壁のフックに掛かっている紐が、暴れる鏡に耐え切れずに、そこから外れてしまいそうだ。


「あ、ダ、ダメ!」


落下する途中で鏡面が私の方を向いたら、その一瞬でガラス片を突き立てられるんじゃないかと。


鏡を押さえ付けようと、立ち上がろうとしたけど……ガラスを引っ掻く音が頭の中に響いて、耳から手を放せない。


「ま、真弥ちゃん!真弥ちゃん起きて!!」


いくら叫んでも、一向に起きようとしない真弥ちゃんに苛立ち、大声を出したけど……それでもまだ起きない。